ひびのあわ

ふと、文章を書こうと思い立った。
6年に及ぶ学生生活が終わり、社会人となった今、自分を取り巻く時間の加速ぶりに、このままではまずいという謎の焦燥感を抱くようになったからだ。

月曜日が始まり、一日が終わり、気づけば金曜日が終わる。
無感情で過ごす時間が増え、惰性でSNSを眺め、フリマアプリで物欲をぶつける矛先を探す。気づけばその忙殺の日々の中に思考が埋まり、ふと後ろを振り向いた時に、その道のりの長さを見て「もうここまで来てしまったのか…」と一人、小さく落胆する。

潮流の早い川の中では、その流れに身を任せてしまったほうが楽なように、出来るだけ無駄なことを考えずに黙々と働き、時の流れの速さに身を任せてしまったほうが楽なのかもしれない。社会に身を置いている以上、この速さの流れを変えることはおそらく難しい。状況や環境は人それぞれ違えど、みな同じように何かに追われ、この忙しない日々を送っている。

だからこそせめて、目の前を流れる風景を文章で繋ぎとめておこうと思った。放っておくと指の隙間からするりと溢れてしまう言葉や想いを、忘れてしまわぬように。流されてしまわぬように。他愛のない人生ではあるけれど、せめて自分だけはそれを手放さなわぬように。

描いた絵。美味しいお店。読んだ本。便利なもの。買った服。好きな音楽。見た映画。釣れた魚。行った場所。撮った写真。素敵な風景。日々思うこと。

どこにでもあるけど、でもここにしかない。
浮かんでは消える泡のような、私の生活の話です。